長引いている以前からの大事件のため、年明け早々、夕方から幹部の緊急会議がありました。
解散した後すぐ、カンタくんから電話が鳴りました。
「ジュピ、一緒に食事行きたかったら行ってもいいけど。」
以前までのカンタくんは、夕方の会議が終わると、
さぁ!みんなで食事に行こう!と私以外の全員に声をかけ、当然のように私も頭数に入れる、
「YESかNOかの選択肢ゼロ」かつ「ダイナミックな繊細」でしたが、
ランチデートを重ねて来たお陰か、この日初めて私だけをピンポイントで誘ってくれました。
しかも夜の食事に2人で行くのはとっても久しぶりでした。
食事中に、
「俺はもう女性と2人きりで食事に行ったり、お酒飲んだり、
話したりするのは面倒くさいんだよな。」
とカンタくんが何度も口にするので、
「私とも面倒くさいの?」
と聞くと、
「お前は俺が誘ってるだろう!俺が誘ったんだから!俺が誘ったんだ!」
と強く繰り返し言われました。
「こんなに俺は忙しくって、地元にもほとんどいないのに、
お前に一番会ってるし、お前と一番何でも話してる。」
そんな事をしきりに言ってきます。
ジュピとカンタくん、若いころから“浮いた噂”が絶えない性質の持ち主、
というのもシンクロしていて、ちょっと異性と仲良くすると、すぐに噂されてしまいますので、
華のあるカンタくんが女性を連れ立って歩くと、必ず色恋沙汰にされてしまい、
それが全国各地で頻繁に起こるので、すっごく嫌だと彼は言います。そして、
「お前はいつも、誰とでもベタベタするよな…どこででも花を咲かせるよな…」
と今度は私のチャラさに話題を振ってきたので、
「私は確かにチャラい、おもわせぶりっ子なんです…。それでこないだも…」
と、ジュピは、年下イケメン社員くんをちょっとその気にさせてしまった事を素直に話しました。
そして、「違う!」って言葉が出た。違う人は絶対無理だと伝えました。
なんだか会話がとっても遠回しですが、2人とも結局のところ、
「いろんな人と浮名を流している俺(私)だけど、
本当に好きなのはあなただけ。あなたじゃないとダメ。」
みたいな事が言いたいのです。
その後もずっと、お互いがお互いをどれだけ想っているかを“遠回しに”言い合うような時間になり、
カンタくんは時折私の頬を両手で包み込み、見つめ合って笑い合いました。
そして、私の耳元にそっと顔を近付けて、とうとう、初めて言葉にしてくれました。
「愛してるよ」
その後は溢れ出すように、堰を切ったかのようにストレートに愛の言葉を連発してくれました。
「可愛い」「大好き」「お前だけ」と。ただ、
「セックスを頻繁にすると、俺は怠け者になるから、七夕くらいでいいかな。」
と言われたので、
「えぇ?!せめて年5回くらいにしましょうよ。。。」
とジュピが言うと、初めて結ばれた日にも言われたのですが、
「ゆっくり抱いてやるから。」
と言われました。
「やめなきゃいけない。」って、2度目のお別れをして、ちょうど1か月ほど経過していましたが、
「やっぱり離れられない。離れることなんてできない。」とお互いが認め合い、素直になった時間でした。
※これで、「彼としっかり向き合う」というパワーウィッシュも叶いました。
時計は午前3時を回っていましたが、お店を出た途端、ドアの外で抱きしめられ、キスをしました。
長い長いキス、おそらく5分くらい。
そしてタクシーに乗り込む前にも道端で堂々と…ここでも5分くらいキスをしました。
※ちなみにこの日、カンタくんの上着とジュピのネックウォーマーが、独特の色柄でシンクロしていました(^-^)♪
別れた後にすぐ電話が鳴り、「大好きだよ、ありがとう。チュッ。」って言われて、
恥ずかしそうに私が笑うと、「ジュピも!チュッ!」と欲しがる(笑)ので、
「私も大好き!チュッ!」と言ってあげると、満足気に電話を切りました(*ノωノ)
可愛すぎて鼻血出そうです。
。。。
。。。
。。。
この愛を語り合った幸せな日から数日後・・・
会社は大変な時期の佳境を迎えていましたが、彼の傍で、
彼を支えて生きていく事に喜びを感じていたある日、
彼と付き合いの長い女性経営者と食事をしている最中に、淡々とお叱りを受けます。
「あなたが会社をちゃんと守りなさいよ。カンタに依存するな!
カンタを自由にしてやってよ。あなた達のせいで、カンタがどれだけ苦しんでるの?!」
カンタくんヌキで彼女と食事をしたのはこの日が初めてで、
でも出会った頃からなんとなくこんな日が来るような気がしていました。
彼女は私にすごく嫉妬しています。長い長い付き合いのカンタくんの隣に、
突如現れた私の存在がきっと気に食わなかったのでしょう。
でも、仰られている事はごもっともで、大事件勃発のせいで、カンタくんは大変な目に遭っています。
大事件は私にもカンタくんにも止めることが出来なかったことなので、
「あなた達のせいで」というのはとても理不尽なのですが、
なんとかカンタくんを守りたい、自由にしてあげたいのに、矢面に立ってくれ、
ずっと私達を守ってくれている彼に、ただただ頼るしかない、
どうしようもないその当時の状況でこの言葉を言われ、無力な自分を思い知らされ、
なおかつ彼女からはカンタくんへの愛と、私への憎しみしか伝わらなくて、
それがとても辛く、ジュピは泣いてしまいました。
その数日後、ジュピはお誕生日でしたが、
カンタくんからのおめでとうメールも、連絡も、全てスルーしてしまいました。
女性経営者に言われた事がずっと胸につかえてて、
どうしてもカンタくんと顔を合わせたり話したりできなかったのです。
お誕生日の翌日、カンタくんが事務所に現れ、1冊の小難しい書籍をプレゼントされました。
そして私の終業時刻頃に、「〇〇で1人で食事してるから、仕事終わったら来い。」とメールが。
ジュピは、
女性経営者との出来事はなかったことにしよう!絶対秘密!絶対言わない!
と心に決め、カンタくんのところへ行きました。
「お誕生日おめでとう。」
「ありがとう♪」
と乾杯し、2人で楽しくお酒を飲んでいました。
しかし…、なぜかこの日カンタくんは、しきりに女性経営者の話題を出すのです。
カンタくん、何か知ってるのかな?と疑いつつも、食事に行ったことを話さずにいたのですが、
何度も何度も名前を出すので、「先週一緒に食事しましたよ。」と、
”あぁそういえば””忘れてたけど”くらいの軽~いスタンスで伝えました。
すると、「そうなの?なんで?何の話ししたの?」とカンタくんが食いついてきて、
根掘り葉掘り訊いてきます。
「えと、閉店するお店にご挨拶に行ったら、そこで偶然会って、そんで・・・」
「で?」
「えっと、〇〇くんのお店に移動して一緒に飲んで・・・」
「で?」
(しつこい)
「えぇと・・・、楽しく飲んで~、・・・う~ん、
なんかカンタさんを自由にしてやれって叱られちゃったかな。」
と、できるだけサラッと笑って言おうと思ったのですが、声が震えてきてしまったので、
「・・・まぁそんな感じ!」
と、私はもうその話題をやめようとしましたが、カンタくんに顔を両手で包み込まれ、
「どうした?何があった?」
と真剣な表情で聞かれます。
「イヤ、私が何もできないからいけないだけで・・・もうこの話しはしたくない。」
と言いながら涙がポロポロ溢れて来てしまいました。
ジュピは、ストレスを抱えると肌がボロボロになります。
「お前、ビタミン不足かと思ってたら・・・それでか。」
と私の荒れた頬を撫でながらカンタくんは言いました。
ジュピは女性経営者から言われた言葉で、
カンタくんが苦しんでいるのに何もできない自分の無力さを思い知らされ、
毎日毎日、ずっとずっと泣いていました。
夜寝る前、お風呂で1人になった時、失恋した女子高生のようにこっそり泣いていました。
涙が止まらなくなってしまい、
大人になってからこんなに泣いたのは初めてっていう程に泣いてしまいました。
「俺の会社で起こった事は、俺の責任だから。お前がそんなに苦しむ事じゃないだろ。」
とカンタくんは言いましたが、
「そんな風に全部1人で抱え込んでるカンタさんを見るのが辛い。
何の役にも立てない自分が情けない。」
と私は言い、声をあげて泣きじゃくってしまいました。
つづく